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■ 池田健一エッセー ■


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■ 作者プロフィール ■

  
      池田健一
   (いけだけんいち)

昭和25年長崎生まれ。大学卒業後、いすゞ系会社の特装車両を手掛け、その後整備士、板金などの職歴を経て、現在長崎でキャンピングカー製作を手掛ける。ウッドを多用したナチュラルな内装を特徴としたフィールドシリーズが評判となる。趣味はスキンダイビング、トランペット、リズム&ブルースなど。文明批評と豊かな詩情を織りまぜた独特のエッセイを自作のホームページに掲載して、アクセスユーザーからの注目を集めている。

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Outdoorエッセー「答えは風の中」 池田健一(カスタムプロ ホワイト)

● vol.023 自然は競わない

アウトドアウエアのメーカーに、L.L.Bean社があります。1912年創業の老舗の会社です。創業者ビーン氏の社是は「Outdoor is no compete」(自然は競わない)。競わないってどんなことだろう、ずーっと考えてきました。ウエアのメーカーなのに販売を競わない…。うーん、おかしいよ。はじめはそう考えました。でも、よくよく考えると、競い合うことなく、自社の製品や販売スタイルを守り続けるのも手かな…と思うようになりました。他社製品と競べる必要のないプライドの持てるウエアを、わがL.L.Bean社はめざします。…まぁそんなことだろうと勝手に解釈したわけです。

自然(アウトドアに生きる生命)は、いつも精一杯。木々も草花も、動物も、雨風や夏の暑さ、冬の寒さにひるむことなく生きています。でも木は、隣に生えている木と、高さや大きさを比べることなんか、しませんよね。大きな木も、高い木も低い木も、それぞれがプライドを持って天をめざしています。自然が凛とした美しさを保っている秘密も、そこにあるように思います。ビーンおじさんは、それをアピールしたかったのでしょう。

私の家のなかを見回しても、2匹の愛犬は、人間様に忠実なふりをして、けっして競ったりはしません。朝・晩のエサをもらうときは、2匹とも、ライバル意識などをむき出したりすることなく、従順に人様の言うことを聞いたふりをしています。犬を擬人化して人間の土俵に乗せ、人間と能力を競わせようと思っても、彼らはたやすく乗ってきたりはしません。

同じ自然の中に暮らす一員として、どちらが偉いかなどと競い合うのではなく、対等に向かい合ったときにのみ、コミュニケーションが生まれます。Outdoor is no compete.100年近い昔のビーンさんの言葉、解ったような気がしました。私は、暮らしもウエアもまったく人と競いません。一時は、「オレはすごいアウトドアマンだ!」などと気負っていた時期もありましたが、それも単に、インドアで過ごすグッズ類を買うのが面倒くさかっただけでした。私のウエア選びの基準は、ナチュラルな感触で、冬暖かく、夏涼しければいい、それだけです。ちなみに、私がアウトドアで愛用しているウエアは、15年前に友人からもらった、今はたき火の炎で穴だらけの日本国自衛隊サクラのマーク入り、隊用語で外皮(ガイヒ)という濃い緑のジャンパーです。L.L.Beanさんすみません、でも、ビーン社のザックリした帆布のバッグはもう何年も使ってますよ。