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■ 池田健一エッセー ■


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■ 作者プロフィール ■

  
      池田健一
   (いけだけんいち)

昭和25年長崎生まれ。大学卒業後、いすゞ系会社の特装車両を手掛け、その後整備士、板金などの職歴を経て、現在長崎でキャンピングカー製作を手掛ける。ウッドを多用したナチュラルな内装を特徴としたフィールドシリーズが評判となる。趣味はスキンダイビング、トランペット、リズム&ブルースなど。文明批評と豊かな詩情を織りまぜた独特のエッセイを自作のホームページに掲載して、アクセスユーザーからの注目を集めている。

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Outdoorエッセー「答えは風の中」 池田健一(カスタムプロ ホワイト)

● vol.024 ボブ・ディランの曲をもう一度

子供が赤ん坊のころから、ファミリーでオートキャンプに出かけていました。子供が小学生のころは虫取り。中学になると魚釣り。高校生ではダイビングと、我が子の成長に合わせて、いろいろなオートキャンプを楽しみました。

虫取りに行くときは、クワガタやカブトムシを入れるカゴを自作し、魚釣りをするときは図鑑をそろえ、子供とともに私も、過ぎ去った少年時代を振り返ったり、考え直したりして過ごしてきました。

でも、子供の入った高校は、クラブ活動のために休日もなく、勉強合宿のために夏休みもない日々の連続。私たちの時代では考えられないようなハードスケジュールの毎日。

「もっと、ゆとりを持たせればいいのに…」などと思う親は、まったく浮き上がってしまう時代になりました。

オリンピックも、幼い頃からの合理的な天才教育がなければメダルが取れないようになりました。今年のオリンピックは、そのおかげで日本のメダルの数も飛躍的に伸びました。

メダルの数に勇気づけられ、「ガンバレニッポン!」と、我が家のカミさんもテレビにくぎづけ。

私は、オリンピックにも夢中になれず、冷ややかな目で見ているため、また浮いてしまいそう。家族をしらけさせないために、一緒になって「ガンバレニッポン」などとは言っていましたが、内心は、

「どこに行こうとしているのか、ニッポン…」

と、ため息。

もう少しだけ解放してやってください、今の子供たちを。

…またグチがでる。

でも「良い父親」という役から、私もそろそろ解放される日が近づいているのかもしれません。

最近は一人で、あるいは子供が親離れして、かつ、カミさんにも見捨てられた父親同士でキャンプに行くというパターンが増えました。

これがけっこう快適です。

ロッキンチェアにゆったりと腰をかけ、青空の下のコーヒー、星空の下のウィスキーを楽しみながら、若いころ聞いた音楽を誰に遠慮することなく自分のためだけに流す。

お気に入りは、ボブ・ディランの「I shall be released」。

「いつか自由になる日が来るさ。いつか解放される日が来るさ」

若い頃、さして気にも留めなかった歌詞が、今では心の底まで染みわたります。

男には、いつかは父親の役目から降りなければならない日が来るのです。

アイ・シャル・ビー・リリースト。