編集長町田厚成の今日もバンクで独り寝
● vol.001 Pキャン中のあやしい来客
仕事と趣味を両立させる目的でキャンピングカーを購入して6年。グローバルのギャラクシーVである。なんといってもボンネット型ってのは格好が良いんだよね。最近はフォーシーズンとかハンター4×4とかアクシスとか、スタイリッシュなボンネットキャンパーが元気だが、6年前というと、このクルマとロデオがボンネット型では有名だった。ギャラクシーを選んだのは、ただただベースのハイラックスというトラックが好きだったからである。
※愛車のグローバルのギャラクシーV
で、このクルマに乗り込んで『全国キャンプ場ガイド』と『RV&キャンピングカーガイド』の取材に全国を回る。長期の出張になっても宿泊代がかからない。取材のアポを入れるときの時間調整も楽。そんなわけで、年に連続3週間〜1ヵ月はこのクルマに寝泊まりしながら各地を放浪する。キャンプ場の撮影などは太陽の光がすべてだから日没が仕事終了の合図。あとは近くの立ち寄り湯をめざすか、静かなPキャンスポットを探しに行くか、町へ繰り出して市営駐車場にクルマを止め(そこが今夜のホテルだ…)、地元の居酒屋を覗いて回るか…という選択になる。その三つのうちのどれかがうまくいけば旅は楽しい。
しかしいつもそううまくいくとは限らない。標高の高いキャンプ場などを取材しているときは、クルマがすれ違うことさえ難しい山道で夜を迎え、視界が闇に閉ざされて途方に暮れることもある。ゴミ置き場でも何でもいい…クルマがすっぽり入るだけの空き地さえあればいい…と切ない気持ちがつのってくる。そんな時はなぜかやっと空き地を見つけても、ヘッドライトに浮かび上がる山の岩肌が無気味に見えたり、森の奥が怪しげに見えたりと、なかなか安心して泊まれる場所にありつけないケースが多い。ヘッドライトを消すと周囲は原始時代そのままの闇。耳を澄ませても風の音すらしない。想像力が豊かな方だからオバケがやたらと怖い。凶悪な人間よりも優しくてもやっぱり幽霊の方が嫌だという性格なため、妄想が湧き出る暗闇が一番恐ろしい。だからひたすら室内を明るくして酒を飲む。 酔いが適度に回り始めた頃、ヒタヒタとクルマの周囲を探るような怪しげな忍び足。カーテンをうっすら開けて、そおっと外の気配を伺う。光りが漏れたのか、相手も動きを止める。しばらくの沈黙の後、忍び足の相手は少しずつ後ずさりを始めた様子。相手もこっちに誰が乗っているか分からないので怖いのかもしれない。

※なぁんだキツネ君、ちょっと寄っていけよ。
思い切ってドアを開けてみると、キョトンとしたコギツネとご対面となった。「なぁんだ、寄ってけよ」と声をかけても、遠慮深い性格なのか、近づいてくる気配はない。ふと見上げると、頭上には満天の星。それも都会では見られないきらびやかな光の饗宴だ。しばらく我を忘れて、夜空を眺め続ける。「部屋にこもってないで、星でも見ろよ」と、キツネは教えに来たのかもしれない。経験からいうと、夜怖いと感じるような場所は、逆に例外なく朝の光を浴びた時の景色が素晴らしい。それを眺めるだけで、なぜか吸血鬼でも退治したかのような高揚感がみなぎってくる。夕べの恐怖は何だったのか…。キャンピングカーの旅はやっぱりおもしろい。

