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今日もバンクで独り寝


vol.001
Pキャン中のあやしい来客
vol.002
キャンピングカーでの古城・古戦場巡り
vol.003
窮地に陥って自然の美しさを知る
vol.004
温泉街の美女
vol.005
居酒屋アクシデント
vol.006
情けなさの極みとは
vol.007
クマ出没注意
vol.008
ああ、旅情!
vol.009
クッキーとの旅
vol.010
混浴温泉の夜はふけて
vol.011
今日も床に独り寝
vol.012
三橋美智也の歌に包まれて眠る

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編集長町田厚成の今日もバンクで独り寝

● vol.002 キャンピングカーでの古城&古戦場巡り

キャンピングカーを使って、全国のキャンプ場やらキャンピングカー販売店などを取材する日々が続くと、時々、仕事を離れた趣味の世界に没頭したくなるときがある。自分の場合、そのひとつが“古城&古戦場巡り”だ。なにしろ戦国時代の話が無類に好きなのである。安土城の天守閣は吹き抜けだったのか? 川中島の決戦で、本当に信玄と謙信の一騎打ちはあったのか? そんなことに想いをめぐらしながら、古城や古戦場を眺めるのが趣味だ。場所によってはみやげ物屋が林立する大々的な観光地になっていたり、そうかと思うと畑の中に記念碑がポツリと立っているだけだったりして様々だが、観光地化しているものより、時の流れに置き去りにされたような淋しい景色の方が味わいが深い。

3〜4年前だったか、実に興味深い施設に巡り合った。資料が手元にないので記憶を頼りに書くのだが、福井を旅しているときに越前朝倉氏の屋敷があった一乗谷の町が当時のまま再現されているのを見たことがあった。JR九頭竜線の一乗谷駅から少し南に下ったあたりである。「一乗谷朝倉氏遺跡」。そんな看板が目につくと、寄り道せずにはいられない性格である。で、案内板を頼りに走っていくと、なんと戦国時代風の町並みが突然現れてくるではないか。といっても観光施設というより学術研究施設という雰囲気が濃厚で、テーマパークというにはあまりにも地味なのだが、逆に商売っ気が薄い分、本当に当時の町並みにタイムスリップした気分になった。

※「一乗谷朝倉氏遺跡」

越前の朝倉氏といえば、戦国史の主役というより、どちらかというと織田信長の引き立て役として取り上げられることが多い。最後の頭首である朝倉義景は北陸を統合する大大名でありながら退嬰的で、時代感覚に疎く、よって信長の野望の前になすすべもなく滅ぼされた…と歴史小説などにはよく書かれる。要は、凡庸なる君主の典型として描かれている場合が多いのだが、個人的には朝倉義景なる人物にすごく親近感を感じる。信長は格好いいけど友達だったら疲れるだろうな…と思わせるものがある。しかし朝倉義景だったら、たまの日曜日に一緒に家族キャンプに行けそうな感じがするのだ。要は、争いごとを好まず、常に文芸的なものに興味を持ち、家族や肉親を大事にする良き家庭人なのである。平和が尊重される時代に生まれれば「理想のパパ」だ。平和を愛するパパが、軍事訓練より和歌を愛し、陰謀渦巻く政治の世界より、ホームパーティで舞を舞うのが好きで何が悪い! …と思うのだが、まぁそういうキャラクターでは時代小説の主役にはなれないわね。


  ※ 無人の往来に陽炎が立つのだ!

で、殷賑を極めた越前一乗谷の町は織田氏の猛攻に遭い、朝倉氏の滅亡とともに灰燼に帰するわけだが、それをそっくり再現しようというのが、先の施設である。土間に板張りの床で構成された町人の家から、畳を持った武家屋敷の後まで、蝋人形付きで往時のたたずまいが再生されている。訪れたときはウィークデイで観光客も少なく、土塀の連なる無人の往来に陽炎が立ったりして、白昼夢の雰囲気がした。かつては足利義昭も滞在し、明智光秀も住んだことがあるという一乗谷。周囲の山々を、かつて光秀や義景も同じように見つめていたのかと思うと、感慨深いものがある。 それにしても朝倉氏を滅ぼした信長の安土城は、石垣が残るばかりで淋しく朽ち果てているが、信長に滅ぼされた朝倉氏の町跡がきれいに復活するとは歴史の皮肉。もっとも安土城だって、三重県の伊勢戦国村で、冷暖房完備のアミューズメント館として見事に復活しているけどね。