新車情報
● vol.015 タンゴ
タンゴを踊るように楽しめるバスコン
ヨーロッパの高級クラスAともなると、一般的なキャンピングカーとは明確に一線を画する大胆な車種が存在する。それらのクルマには、テーブルやシートの形状からベッドの形まで、通常のキャンピングカーのイメージを打ち破るようなデザインが採用されている。ヨーロッパのデザイナーたちが家庭のリビングともホテルの部屋とも明確に異なる新しいくつろぎの空間を実現したかったからだ。彼らは、クルマで旅するユーザーに非日常的な空間を与えることによって、ユーザーの気持ちをリフレッシュさせる術を心得ている。アールブイビックフットが開発したタンゴも、そのようなヨーロッパの高級クラスAの精神を受け継ぐバスコンである。
このクルマのエントランスから入って最初に目にするのは、複雑で流麗なカーブを描くテーブルとシートである。同社が、キャブコンのプルミエ5.8で開発したような、世界的に見ても類例のないような斬新な家具デザインがここでも実現されている。さらに視線を奥に走らせると、従来の常識を大胆に無視した斜めの固定ベッドを見ることができる。トイレルームの壁もベッド側に向かって斜めに立ち上がっており、従来の遠近法に慣れた人間の視覚を心地よく幻惑させてくれる空間が誕生している。
それでいて、このタンゴが演出する不規則な空間造型は少しもいびつに見えない。ベッドやトイレルームの角度が、エントランスから入る人間の動線に合わせて合理的に設計されているからだ。従来のレイアウトでは必ず障害物となっていたタイヤハウスの突起も、このスタイルを採用することによって巧妙に隠されるようになったし、ベッドの周りに遊びの空間ができたために、贅沢な雰囲気が漂うようになった。また、車体後半部が完全に窓埋めされたことによってプライバシーも確保され、寝室としての落ち着きも生まれた。天井には開口部の広いパノラマベントも設定され、そこから舞い降りる陽光が車内全体に清潔感の漂う明るさを与えている。
11月のベイサイドショーに出品されたプロトタイプは参考出品車という位置づけのために、装備類の詳細や価格は明示されなかったが、ショー会場における来場者の評判が上々だったため、同社は量産を決定したようである。量産1号車には日産シビリアンのショートボディが予定され、逐次、シビリアンロング、コースターロング、コースターショート、日野リエッセUなどに架装されるという。
タンゴという車名には、夫婦2人がタンゴの調べに乗って心地よく踊れるようなクルマにしたいという開発者の気持ちが込められている。タンゴには情熱のおもむくままに自由に踊るというイメージがあるが、実は緻密な計算と地道な練習の積み重ねによって成り立つ踊りだ。アールブイビックフットが実現したかったのも、ダンスのタンゴにあやかった奔放なデザインと合理的な設計の両立だったに違いない。
- 発売
- アールブイビックフット
- 価格
- 予価 8,000,000円〜9,000,000円(最終価格未定)
- サイズ
- 全長6990mm 全幅2025mm 全高2680mm
- 定員
- 乗車定員4名/就寝定員2名
- ベース車
- 日野リエッセU/日産シビリアン/トヨタコースター
- コーチビルダー
- アールブイビックフット

