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新車情報

トレールジョイ・J220


わが国初の「けん引免許対応型」国産トレーラー


 日本のキャンピングカービルダーは、実に幅広いジャンルに挑戦している。ポピュラーなバンコンやキャブコンはいうに及ばず、世界に類例のないマイクロバスや軽自動車をベースにしたものまで、国産ビルダーが活躍するフィールドは非常に広い。
 しかし、ことトレーラーに関しては、なかなか国産品が根づかない。エフシーシー(フランスベッド)のキャラベルエアやヨコハマモーターセールスのフォレスターといったブランドが登場して一時隆盛を極めたこともあったが、いずれも現在は製作されていない。最近では、グローバルも新型トレーラーを開発したが、カタログモデルとしてはラインナップされていない。
 そんななかで、今年の春にリトルハウスが発表したトレールジョイ・J220は、わが国初のけん引免許対応型国産トレーラーとして大いに注目してよいだろう。

 トレールジョイは、もともとはリトルハウスが正規代理店として導入していたRビジョン社のトレールライトを原型としたモデルだ。
 トレールライトは、その名の通り軽量設計を追求しながら、床下の水タンクや配管の凍結を防ぐフルカバーアンダーフロアを備えていたり、豊富な収納スペースを確保したりと、他の機種にはない数々の特徴を備えたトレーラーで、多くの日本人にアメリカントレーラーの魅力を伝える格好のモデルとして親しまれてきた。
 しかし、車体の大型化を求めるアメリカ市場の需要に応えるため、Rビジョン社がナローボディの生産を中止してしまい、日本向けトレールライトの供給もそこで途絶えることになった。

 そこで、リトルハウスの大森社長はトレールライトの国内組立を決意。部材をアメリカから調達することによって、トレールライトの基本設計を元に栃木県・茂木町の自社工場においてオリジナルモデルを製造することにした。それがここで紹介するトレールジョイ・J220である。

オリジナル車だからこそ実現できた完全日本仕様


 トレールジョイ・J220の特徴は、トレールライトの基本性能の中からユーザー評価の高い性能をことごとく換骨奪胎しただけでなく、日本人の好みや日本における使用環境を考慮して、徹底的に日本向け商品として練り直したところにある。
 たとえばベッド下段を折りたたみ式にして、折りたたんだときに外部収納と直結するという構造。これはトレールライトでも採用されていた構造だが、トレールジョイでは、さらに上段ベッドまで折りたたみ式が採用されている。
 このようなアイデアは、ポルトやアドリアなどといったヨーロッパ製日本向けトレーラーに見られるもので、トレールライトの顧客の要望が高かったものの一つだが、それが今回国内組立によって実現したことになる。
 また、TV台にも工夫が凝らされ、単なるTV台ではなく、大型液晶TV、ビデオデッキ、HD/DVDレコーダー、地上デジタルチューナーなど、АV機器をまとめて収納できるАVセンターとして設計されているのもミソ。
 さらに、ソーラーパネルを最大3枚取付できるルーフ内補強、衛星パラボラアンテナを追加するためのルーフ内補強、フィアマ・バイクキャリアなどのサイクルキャリアを取り付けできるリヤウォール内補強が追求されていることも見逃せない。
 また、日本仕様のオリジナル企画として、オプションとなるがカセットトイレを選択できるのも特徴のひとつだろう。
 そのほかにも、実現までにまだ少し猶予が必要だが、アクリル2重窓ウィンドウの設定や、EU16iをビルトインして搭載したまま発電できるようにする企画なども進められている。

 このような、顧客の個人的な要望にも応じられる緻密な設計が可能になったのは、やはり国内組立が実現して、制作者が内部構造をしっかり掌握できるようになったことが大きい。
 ちなみに、自走式ほどのメリットをユーザーが実感することは少ないかもしれないが、左エントランスドアが実現されているため、たとえば自宅の前に駐車して荷物を積み込んだりするときに便利であることもつけ加えておいていいだろう。

お手本は、一世代前の2005年モデル


 このトレールジョイ・J220の基本骨格は、トレールライトの2006年モデルではなく、むしろそのひとつ前の2005年モデルに準拠している。
 たとえばトレールジョイ・J220では、フロント収納が左右二つのスペースに仕切られ、右にはLPボンベとバッテリー、左にはホンダの16iなどがきれいに収まるように区分けされているが、実は、このアイデアはトレールライト2005年モデルにはあったものの、2006年モデルでは廃止されてしまったものなのだ。
 トレールライト2005年モデルでは、小型のドアだけで構成されていた従来型のフロント収納が2分割式のアルミ大型ドアになり、さらに、トレールジョイで実現されたビルトインタイプの丸形テールライトなどもしっかり採用されていた。
 大森社長によると、トレールライト2005は、それまでのアメリカントレーラーには見られなかった新機軸を打ち出した画期的なモデルで、歴代トレールライトの中では最も洗練された高級モデルだったという。
 ところが、そのようなトレールライトの洗練化路線は1年も続かず、2006年モデルになると、2005年モデルが持っていた数々の特徴はほとんど消滅する。理由は、そのような路線がコスト高につながり、多くのアメリカ人顧客からは敬遠されてしまったからだそうだ。
 Rビジョン社も、企業であるからには市場のニーズに応えた製品に切り換えざるを得ず、おそらくその路線転換は、同社のエンジニア達にも残念な思いを持たせただろうと大森さんは推測している。

ちょいと見はアメリカンでも、心はヤマトのきめ細やかさを


 トレールジョイ・J220は、トレールライトの一世代前のモデルだった2005年版をお手本とすることによって、実に洗練されたトレーラーに仕上がった。当然、内装もそれなりの充実ぶりを示すようになった。
 室内に入ると、まさにトレールライト2005年モデルに代表されるアメリカン・トレーラーの雰囲気そのもの。そのアメリカ的なテイストに目を奪われると、「どこが国産なの?」と尋ねたくなってしまうが、目に見えない部分が違うと大森社長。
 たとえばダイネットシートやベッドのクッションなどは、日本人の好みに合わせて固めのものが使われている。縫製だけは現地の工場に頼んだが、クッションは、大森社長が固さを自分で確かめて選んだものばかり。
 冷蔵庫なども、長期滞在に向くように、製氷機能付きの2ドアタイプのものが奢られている。
 トレールライトの部材をそのまま流用したのは洗面ユニットだけ。後はフレームから壁材からすべてオリジナル車としての特注となった。
 木材なども、アメリカで四角い断面の化粧角材を入手し、それを日本に送ってもらってサイズに合わせて切って使った。

 しかし、何から何まで手作りとなるため、最初は戸惑うことも多かったという。
 トレールジョイの開発を決意してからの大森社長は、延べ3週間近くRビジョン社の工場に入り浸ることになる。
 製法にかかわる緻密な部分を実際に自分の目で確認するという目的もあったが、苦労したのはパーツの入手。
 なにしろトレーラーの世界には、国産自動車では当たり前のイラスト入りの立派なパーツリストなどがない。しかも、そのようなパーツ類が千点以上に及ぶ。ある部品が欲しくても、それが何であるかを慣れない英語を使って電話で要求するのは大変な作業だ。結局は、工場に出向いて現物を確認し、そして日本へ輸送するための打ち合わせを行うという作業の繰り返し。大森さんがそのために要した渡米の回数は全5回以上に及んだ。

 もちろん日本に帰ってからも、いざ自分で造るとなるとやはり細かいところが分からない。何度も電話して確かめ、教えられたようにトライして失敗。また電話を繰り返すという日々がしばらく続いたとも。
 しかし、その後は造り方にも習熟して、当初3ヶ月近くかかっていた製作日数も、今では1ヶ月半ぐらいに短縮できるようになったという。

 失礼な表現になるのかもしれないが、このトレールジョイ。初めての自作トレーラーにしては実にフィニッシュがきれいな造りとなっている。壁面のつなぎ合わせの部分もうまく処理されているし、モール部分の処理も上手。開発者・企画者としての大森社長の力量は業界やユーザー間でも定評があったが、ビルダーとしてのリトルハウスの力量も一流と見た。
発売
リトルハウス
住所
栃木県芳賀郡茂木町馬門1007-1
電話
0285-63-5087
URL
http://www.littlehouse.co.jp/
価格
税込3,980,000円
全長
7100mm/全幅:2280mm/全高:2900mm
車両重量
1650kg
就寝定員
6名
装備
ルーフエアコン(ポーラーキャブ)/サイドオーニング/フロント大型外部収納ドア/Uダイネット/フロント折りたたみバンク収納/リヤダブルベッド/リヤ折りたたみバンクベッド/スクリーンドア/ブラインド/FFヒーター/2ドア冷凍冷蔵庫(170g)/3バーナーガスレンジ/ダブルシンク/電子レンジ/電子着火式ガスボイラ(22g)/ガス検知器/シャワー&トイレルーム/洗面台/シティウォーターフックアップ/АC電源フックアップ/DCコンバーター&バッテリーチャージャー/バッテリー(ブライトスター105Ah)/モニターパネル/オーディオスピーカー&FMアンテナ/TVアンテナ&ブースター/АCコンセント/格納式エントリーステップ/ルーフラダー/清水タンク(110g)/グレー排水タンク(110g)/ブラック排水タンク(110g)/スペアタイヤ/スタビライザージャッキ(4点)/セフティチェーン/分離ブレーキ/機械式駐車ブレーキ