調べてみました
 

第2回目

【ディーゼル車規制はどうなっているの? その2


 前回、環境省によって定められた新NOx・PM法と、東京都のディーゼル車流入規制のレポートを書いたところ、 予想のほか反響が大きく、さらに新たな質問が寄せられた。それは、ディーゼル車の輸入キャンピングカーの場合はどうなのか?  というご指摘である。今回は、それに対するお答を中心にレポートをまとめてみよう。

 まずその前に、もういちど新NOx・PM法の骨子を簡単に要約してみたい。 環境省の定めた新NOx・PM法とは、 「自動車の交通量、保有台数そしてNOx(窒素化合物)とPM(炭素の粒子状物質)の排出密度が全国平均の3〜4倍」という地域だけを対象に、 排出ガスの成分が一定の基準値を満たしていないディーゼル車は、今年の10月以降登録できないということを明記した法令である。この特定地域として、 東京都、愛知県、大阪府のほぼ全域と埼玉、千葉、神奈川、三重、兵庫の大都市部が指定されたが、自動車の保有台数が多い地域がのきなみリストアップされた関係上、 かなりのディーゼル車がこれに該当する。これらの地域では、指定の基準値を満たしていないディーゼル車は初度登録から10年間までは新車登録・継続車検が認められるものの、 その猶予期間を過ぎたものは認めないとされ、初度登録から起算された「使用最終日」まで定められた。 現状では、キャンピングカーのベースとなっているような小型ディーゼル車はほとんどこの排出ガス基準値をクリアしていないため、この法令はメーカー、ユーザーともに深刻な影響を与えた。

 さてこの排ガス規制は、輸入キャンピングカーのディーゼル車にまで及ぶのか? という問題がひとつ出てきた。 というのは、排出ガス規制の適用を受けるか受けないかは車検証上に記載されているクルマの「型式」によって決まるのだが、輸入キャンピングカーの場合、ほとんどこの型式がない。
 国土交通省による輸入車の型式指定制度によると、型式指定するには各種のテストデータを提出することが義務づけられると同時に、 販売を担当するディーラーに「メーカーと同等の技術対応ができるかどうか。年間の販売台数で(原則的に)2,000台をクリアできるかどうか」などという要件が必要となる。 しかし、現在日本で年間2,000台などという販売を見込めるキャンピングカーは存在せず、したがってこの条件をこなせるキャンピングカーディーラーはいない。
 そのため、輸入キャンピングカーに関しては、「ディーゼル規制に適合するかしないかを判断するための型式が不明」という非常に微妙な問題が発生することになる。

 これに関して、環境省は「型式不明の車両も規制の対象とする」という方針を出しているという話がある一方、国土交通省の方ではその動きはなく、 陸事の支局ごとに見解が異なるという話もあり、真相ははなはだあいまいな状態になっている。
 そこで実際ディーゼル車の輸入キャンパーを数多く手掛けているレクビィの増田専務(ロータスナゴヤ社長)に、その“あいまいな”部分を尋ねてみた。

 増田氏がいうには、「輸入車のディーゼルキャンピングカーは、2.5tを超えるものであるかぎり、ずばり今回の新NOx・PM法の適用からは除外されます」とのこと。 というのは、増田氏が愛知県の中部運輸局にその問題を問い合わせたところ、即座に「車両総重量で2.5tを超える型式不明車は適用除外です」と、 係官からの回答を得られたからだ。今回のNOx・PM法の適用範囲は、あくまでも型式指定された量産車において明記されているにすぎず、 2.5t超えの型式不明車は、数も少ないことゆえ排ガス試験などのデータ提出を義務化していないという回答であったという。
 試験データの提出を義務化していない以上、それは実際上は“おめこぼし”ということになり、結果的に、型式不明にならざるを得ない輸入キャンピングカーのディーゼル車は、 適用から除外されるという解釈が成り立ちうる。(ただし、法令の条文には、「除外」と明記したものは存在せず、あくまでも官報による通達とのこと。 官報による条文の確認はロータスナゴヤによって行われている)

 とにかく中部運輸局の回答により、レクビィでは同社が扱う輸入車のユーロピオ、ドラール、ディンギーなどのディーゼルキャンピングカーは今後も継続的に販売を続けていく方針である。 (ただしベンツシャシーに関してだけいえば、ベンツ・ジャパンが扱っているT1−Nは日本で型式指定されており、そのシャシーに架装する国産バンコンは、 今後特定地域以外では登録できないという制約を受けることになる)。
 ちなみに、ヒュンダイ自動車のSRXをベースにした国産キャブコンの場合はどうか。 現在バンテック、ロッキー、フィールドライフからこの韓国製シャシーをベースにしたキャンピングカーがリリースされているが、 これらの国産キャブコンもシャシーが輸入車であるため、輸入車扱いとなり、かつその流入規模も小さいということで「並行輸入外車」と見なされ、 今回のNOx・PM法の適用から除外されている。

 以上のように、輸入ディーゼルキャンピングカーは、ほとんど今回の新NOx・PM法の適用を除外される見通しがついたが、問題は東京都の流入規制の方。 これは「来年(平成15年)10月より、東京都の定めた粒子状物質(PM)の排出基準を満たさないディーゼル車は、都内全域の運行を禁止する」ということを明記した条例だが、 ここにも並行輸入車に関する記述があり、それによると、「並行車の場合は、そのクルマが登録された時点における最新の排ガス規制をクリアしているものと見なす」と謳われている。 ということは、型式不明の並行車は環境省のNOx・PM法をクリアしたとしても、その初度登録日によっては、東京都内を通行できるには制限を受けざるを得ないということになる。
 東京都の場合は、平成9年の排ガス規制に適合しているディーゼル車は、次の平成17年排ガス規制による見直しまでは、流入規制の対象としていないので、 そこに関しては、環境省の規制より“ゆるやか”ともいえる。しかし平成9年の排ガス規制に適合していない使用過程車は猶予期間が初度登録から7年とされているため、 逆に、「10年」と定めた環境省より厳しい。
 このあたり、同じ取締をするのなら、せめて猶予期間の年数ぐらいは環境省と東京都で連動してほしいものである。