《キャンプ場ともいえる広大な敷地》

展示場内にキャンピングカーの体験施設を整えたショップが増えている。そのなかでも、熊本県の朝倉自動車商会がこのほどオープンした「風の庵(いおり)」は、体験施設というより立派なキャンプ場だ。1300uという広い敷地内がすべてフリーサイトになっており、炊事場やトイレがあるほか、オーナー朝倉氏が手作りした五右衛門風呂まで用意されている。
この「風の庵」は、朝倉自動車の本社から500mほど離れた耕作放棄地を利用したもので、その開発には朝倉自動車のスタッフ以外に、同社のユーザーや地域住民がこぞって協力したという。
緑の豊かな森を背景に、見晴らしの良い高台に開かれている同施設は、大自然の息吹を満喫する格好の場所として地元メディアからも熱い注目を浴び、早くも鹿央町の名所のひとつになっている。
《あえて不便を楽しむ》

オーナーの朝倉信洋氏は、「風の庵」を企画した動機をこう語る。
「不景気やリストラ、会社倒産など、今日までの日本には明るい話題がなかなかなかった。日本人の明るい表情を取り戻すためには、家族の絆や地域のコミュニケーションを深める場がぜひとも必要だと感じた。それには、キャンピングカーを軸に自然と人が触れ合う場をつくることが一番良いと考えた」
そのため、同施設には「キャンピングカーの体験施設」と銘打ちながらAC電源も水道設備もない。
あえて造らなかったという。
「水道や電気を導入してしまえば、便利になった分、家族や隣人とのコミュニケーション密度も薄くなる。人と人が濃い関係を結ぶのは、不便な状況を克服しようとして手を取り合ったとき。風呂に入るときも、自分たちでマキを割り、ポリタンクで水を運んで、苦労して入ってほしい。その苦労が仲間同士の達成感や連帯感を呼び覚まし、その後のビールをおいしくする」と朝倉氏は語る。「何もないところで、電気や水の大切さを思い起こし、それらの資源を大事にする感性を養ってほしい」とも。
《月を見ながらのビールが最高!》
朝倉自動車商会が、このような環境保護という視点に立った活動を行ったのは今回が初めてではない。一昨年熊本のグランメッセで開かれたキャンピングカーショーにおいても、同社はJRVA九州地域部会として来場者に渡すパンフレットなどの有料化を提案し、そこで集められた収益金を植林活動に回している。その活動によって阿蘇山に植えられた700本の苗木は、現在人の背丈ほどに成長し、周辺の空気を浄化したり、地下水の環流を促進して農作物などの育成に貢献しているという。
「風の庵」を造ってからの朝倉氏は、夜は一人でそこに行ってチェアに座り、月を見ながらビールを飲む毎日。「今の季節は、風も涼しく、月もきれいで虫の声も美しい。子供たちを呼んで、映画大会をやるのもいい…など次々といろいろなアイデアが沸き、仕事も忘れて楽しい時間を過ごしている」とのこと。
通年オープンで、料金は無料。テント、コンロなどのキャンプ用品のレンタルもある。申込みは本社(TEL.0968-36-2908)へ。
●写真(集合写真) 左より2人目が朝倉信洋氏
●写真(広場) 1300uの広い敷地は全面フリーサイト
●写真(テント張り施設) 手作りの五右衛門風呂